第26章 魔女とトナカイ
コンコン。
モモの後ろでビクビクと震えるベポを尻目に、ツリーハウスのドアをノックした。
しかし、しばらく待っても返事はない。
「…お留守かしら。」
「じゃ、じゃあ仕方ないね! 帰ろうよ!」
でも、ここで引くわけにはいかないのだ。
コンコン。
再びノックする。
「モモ、いないんだよ。」
「んー、でも窓から明かりが…。」
ドアから離れ、窓を覗いた。
寒暖の差で窓は曇っており、ハッキリとはわからないけど、部屋の中でゆらりとなにかが動いた気がした。
(あれ…、今なにか動いた…?)
もしかして人影ではないだろうか。
「モモ…、諦めよう--」
そうベポが言ったとき、ツリーハウスのドアが勢いよく開け放たれた。
バァン!!
「うるさいねぇ、誰だい!? あたしゃ、留守だよ!」
あまりの勢いにドアの前にいたベポが吹っ飛ばされた。
「ベポ!?」
留守じゃないじゃん! と突っ込むことも忘れ、宙を浮いたベポに驚き、口元を両手で覆った。
ドスン…!
ベポの巨体が地面に大きく尻もちをつき、その振動で木々に積もった雪がドサドサと落ちる。
「きゃあ…!」
当然、モモの上にも降りかかり、その冷たさに心臓が跳ねた。
ヒスイは一目散にモモの懐に逃げ込む。
「……で? 白クマがウチになんの用だい。まさか、チョッパーの友達とでも言うんじゃないだろうね。」
玄関口に肘を突き、老眼鏡とサングラスを頭に付けたその人は、片手に持った酒瓶をグビリと傾けながら尋ねた。
(チョッパー?)
彼女の家族だろうか。
モモはぷるぷると首を振って雪を払ったあと、ツリーハウスの住人をじっくりと見た。
雪国だというのに、半袖のティーシャツ。
しかも裾は短く、キラリと光るへそピアスが目立つ。
加えて、若者ですら履きこなせるかわからないようなスタイリッシュなパンツ。
なんというか…、若い?
「若さの秘訣かい!?」
あ、はい。
教えていただけるんですか?