第25章 医者がいない島
店の外へ出ると、寄り添い、肩を抱く2人の姿があった。
もしベポが人間の男であれば ぶち飛ばしているところだが、さすがのローもクマには許容する。
「…オイ、終わったぞ。」
「アイ、キャプテン。わ、すごい量だね。」
「補給できるときにしておくべきだ。」
特に火薬はあるに越したことはない。
理由は懸賞金が上がったことにより、この先 戦闘が増える可能性があるから。
それを言えば、またモモが気にするだろうから黙っておくが。
「2人とも遅いねぇ…。」
集合場所でシャチとペンギンを待っていたが、2人はなかなか現れない。
「なにかあったのかな。」
こうも遅いと心配になってくる。
「…どうせ油でも売ってるんだろ。余計なもんを買ってきやがったら、荷物を全部持たせてやる。」
いや、今荷物を全部持ってるのはベポなんだけどね。
手ぶらのローを横目でチラッと見たけど、そこは黙っておく。
「あ、来たよ。…って、2人ともずいぶん慌ててるなぁ。どうしたんだろ?」
自分たちと同じように大量の荷物をソリに括り付けた2人は、まるでプレゼントを運ぶトナカイの如くかっ飛ばして走る。
集合時間に遅れたからといっても、あの慌てようは不自然だった。
ローもなにかあったと感じたのだろう、ピリッと空気を張り詰めさせた。
「せ、船長! 大変ッス。」
「どうした。」
ぜいぜいと息をする2人にすかさず尋ねた。
「じ、実は…、さっき食料店に王国の守備隊の兵士と思われるヤツらがいまして。」
一応警戒はしたが、ひと目で海賊と見破られるわけではない。
2人はいたって普通の客として買い物をした。
兵士たちは案の定2人の素性に気がつかず、ぺちゃくちゃと世間話をし始めたのだ。
なんとなく聞き耳を立てていると、とんでもない情報が聞こえてくるではないか。
それは、我が船長が喉から手が出るほど欲しい情報。