• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第25章 医者がいない島




「まいどあり! お客さん、ソリはご使用になります?」

大量の火薬、燃料を購入したため、荷物はすごい量になった。

これを手で運ぶというのは、なかなか効率が悪そうだ。

「ああ、そうしてくれ。」

「はいよ!」

店主は奥から大きなソリを取り出し、荷物を積み上げ始めた。

それを待つ間、ふと店の外にいるモモのことが気になった。


(怒ってんのか、アイツ…。)

無理もない。
彼女の優しさ、正義感、そして誇りは自分が誰より理解している。

そんな彼女に、薬剤師であることを隠せだなんて、酷だったに違いない。

まして、嘘を吐けなど…。

つい半年前まで言葉を紡げなかったモモは、嘘を吐くことを知らない。

素直で可愛いと思うが、ときにそれは彼女を危険に晒す。

ウォーターセブンのようなことは2度とごめんだ。

ひどいようだが、ここはモモに耐えてもらうしかない。


「お客さん、お待ちどおさま。」

ソリに括りつけた荷物を店主がズルズルと引きずってきた。

確かにこれなら、雪道を楽に進めるだろう。

「ああ。」

ローは店主に代金を手渡す。

早めに島を出たい。
もし、目の前で病に倒れた人がいたら、きっとモモは苦しむだろうから。

せっかくの雪国だが、それを彼女に楽しませてやれる余裕はなさそうだ。

ローは大きなソリを引きずりながら、2人が待つ店の外へと出て行った。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp