第24章 幸せを呼ぶ潜水艦
「は、はい。」
突然の出来事に、胸をドキドキさせながらも返事をした。
「心配しなくとも、いつかまた会えるだろう。カードがそう言っている。」
「え…。」
ホーキンスは人の心が読めるのだろうか。
自分が考えていたことをそのまま言い当てられ、驚いた。
「縁は切れない。」
この島で、モモとホーキンスは縁を結んだ。
でもそれが、今回の別れで切れるものではないとホーキンスは知っている。
彼の占いは良く当たる。
それはモモが身を持って学んだこと。
その彼がそう言うなら、そうなんだろう。
「わかりました! じゃあ、また会えますね。」
「その通りだ。」
だからお別れじゃない。
そう思うと、さっきまで後ろ髪引かれた気持ちも急に軽くなって、モモは嬉しくなった。
「はい。じゃあ…また会いましょう!」
再会の言葉で別れられる。
なんて気持ちがいいんだろう。
「ああ。」
ホーキンスの口角がまた少し上がる。
だからモモも同じように笑って船に乗り込むことができた。
「トラファルガー・ロー。」
モモの後を追って、船に乗り込もうとするローをホーキンスが引き止めた。
「…なんだ。」
先ほどのやり取りは非常におもしろくなかった。
だけど、ホーキンスはモモを取り返してくれた恩人。
無視したい気持ちを抑えて振り返った。
パラパラパラ…。
ホーキンスの周囲で占いのカードが宙に浮く。
「お前はそう遠くない未来、1番大切な宝を失うだろう…。」
“魔術師 バジル・ホーキンス”は、なにを考えているかわからない、まったくの無表情でそう告げた。
「占いで、そう出ている。」
『1番大切な宝』
それを示すものは、ローにはひとつしかない。
「俺は占いを信じねェ。」
ローはただ一言そう言うと、さっさと船に乗り込んだ。
1番大切な宝を失う?
そんなことはあり得ない。
もう2度と、彼女を離さないと誓ったのだから…--。