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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第24章 幸せを呼ぶ潜水艦




深々と下げた頭に、ポンとホーキンスの大きな手のひらが乗る。

「……?」

訝しんで顔を上げると、そのままグシャグシャと撫でられた。

「わわ、ホーキンスさん…?」

人の頭を撫でたことなどないのだろう、モモの髪は大きく乱れた。

「…礼など必要ない。また、いつでも力になろう。」

今度は、占いに導かれなくとも。

ホーキンスの口角が、ほんの僅かに上がった。

(あ…、今…笑った…?)

笑顔と呼ぶには乏しすぎる表情。

でもモモには、それが確かに笑顔と思えたのだ。


「いいえ。次は、わたしがホーキンスさんの助けになりますから。」

果たして自分がなんの役に立つのだろうか。
強いホーキンスに助けなど必要ないかもしれないのに、モモは堂々と約束した。

そんなモモに優しい眼差しを向けて、ホーキンスはまたグシャグシャとモモ髪を乱した。


「オイ、馴れ馴れしく触んじゃねェよ…。」

しばらく様子を見ていたローが、堪らず口を挟んだ。

「…嫉妬深い男は嫌われる。」

「あァ…?」

呟かれたホーキンスの言葉に、ローの額に青筋が立った。

「もう…。やめて、ロー。ただお礼を言ってただけなんだから。」

モモが乱れた髪を手櫛で整えながら、仕方なさそうに見上げる。

「なら、もう用は済んだな。さっさと船に乗るぞ。」

ローがモモの首根っこを掴んで、ずるずると引きずる。

「ちょ…、猫じゃないんだから…ッ」

まだお礼が言い切れてないのに。
ホーキンスにはもう会えないかもしれないのに。

モモがローを非難しようとした、その時…。


「モモ。」


(え…? 今…。)

一瞬聞き違いかと思った。
だけど、確かにホーキンスはモモの名を呼んだのだ。

初めて。


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