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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第24章 幸せを呼ぶ潜水艦




港へ行くと、自分たちの海賊船が堂々と海に浮かび、出航を今か今かと待っていた。

「おお…。島もいいけど、やっぱり俺らの船が1番だよな。」

所詮、自分たちは海の男。
船よりも快適な場所なんて存在しない。

シャチは意気揚々と船に乗り込んだ。

「ボクも舵具合を確認しないと!」

「おいおい、荷物を積み込むのが先ッスよ。」

その後を追うようにして、ベポとペンギンが続く。


(もう出航か…。お礼、ちゃんと言いたかったな。)

この島へ来てから、1番お世話になった恩人の顔を思い浮かべた。

思ってみれば、モモは彼の居場所を知らないのだ。

後ろ髪引かれる思いで、街の方向を振り向く。

すると人混みの中に見知った顔が…。

(あ……ッ)

ローよりも背が高く、ローよりも無表情。

たった今、自分が思い浮かべていた人物だ。


「ホーキンスさん…!」

パタパタと彼に向かって駆けていく。

「良かった、もう会えないかと思いました!」

ちゃんとお礼を言えなかったことが、どうしても心残りだった。

「…占いで、今日お前たちが旅立つことを知った。」

つまり、見送りに来てくれたのだろうか。

「あの…、ありがとうごさいました。いろいろと。感謝してもしきれないくらいです。」

彼がいなければ、今の自分はここにない。

「気にするな。そういう巡り合わせだっただけのこと…。」


カードの導きで彼女と出会い、それで出来た縁が彼女を助けた。

全ては必然なのだ。

だから感謝することなんてないのに、彼女は深々と頭を下げる。

「どんな巡り合わせでも、わたしがホーキンスさんに助けられたのは事実です。お礼を言わせてください。」

律儀に礼を言うモモに、ホーキンスは無表情な顔で驚いた。

占いによってホーキンスが善行をとることは、多々ある。

だけど、誰もこんなふうにお礼を言ったことはなかったから。

皆、ホーキンスの気味悪さを恐れ、距離を置く。

彼女の素直さに、胸がじんわり温かくなるのを感じた。



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