第24章 幸せを呼ぶ潜水艦
「んじゃ、さっそく造船所へ向かうとするか!」
船もそうだけど、造船所に預けたヒスイも早く迎えに行ってあげたい。
あんな別れ方をしたから、きっと心配してる。
はやる気持ちを抑えて、モモたちはヤガラブルに乗り込んだ。
「ンマー!! 時間通りだな、お前たち。船の修理なら終わっているぞ。」
「こんにちは、アイスバーグさん。」
造船所に着くなり、美人秘書を連れたアイスバーグが一味を出迎えてくれる。
「あの…。来て早々に申し訳ないんですが、ヒスイは…--」
「きゅいーー!!」
相棒の居場所を尋ねようとしたが、それよりも先にヒスイの方から飛んできた。
「ヒスイ…!」
その緑の身体をしっかりと受け止める。
仮面の海兵に斬りつけられたキズは、もうすっかり良いようだ。
「ごめんね、ヒスイ…。」
自分のせいで痛い思いをさせてしまった。
「きゅきゅッ」
気にするな と言うように、ヒスイの触角がモモの頬を撫でる。
それどころか、ヒスイは悔しかった。
自分がモモを守れなかったことに。
モモの胸に抱かれながら、もっと強くなろうと心に誓う。
「なに、どうしたんだ? ヒスイ、なにかあったんスか?」
なにも知らない3人が不思議そうに見る。
「…ううん、ちょっと…はぐれちゃって。」
嘘じゃない。
実際のところ、はぐれていたのはモモの方だけど。
「バカだなぁ、気をつけろよ。」
「うん…。」
そう、ちゃんと気をつけていれば、こんなことにはならなかったのに。
心で己を責めるモモに気づいてか、ローの手のひらが頭に乗り、髪を梳いた。
「心配しなくても、もう目を離さねェよ。」
もう見失うことはない。
だから、安心していい。
ローはどこまでもモモに甘い。
嬉しくて、申し訳なくて、はにかむような笑みを見せた。
(あれ、なにこの雰囲気。)
(いやむしろ、この空気が流れると、なんかもう安心するッス。)
(でも、なんか、アイスバーグさん困ってるよ。)
甘い空気に当てられて、アイスバーグが苦笑しているのに気がつくまで、あと数分。