第23章 仮面の暗躍
ホーキンス海賊団の船はローを乗せ、すぐに海へ出た。
政府御用達の造船所があると名高いこの島には、海からたくさんの船が訪れては旅立つ。
だから、島近辺には無数の船が点在している。
だというのに、ホーキンスは迷うことなく一隻の船を追いかけた。
「なぜ、あの船だと?」
「カードが道を示している。」
ピッと1枚のカードを見せつけられる。
(イヤ、見せられてもわかんねェよ。)
また占いか…。とうんざりするけど、ローはホーキンスに賭けることに決めたのだ。
船が近づくにつれ、帆に描かれたマークが明らかになってゆく。
…海軍の船だ。
「ほら…な、当たっただろう。」
無表情なホーキンスが、少しだけドヤ顔になる。
「俺は占いなんざ信じねェ。…だが、感謝する。」
言うなりローは海へ飛んだ。
“ROOM”
大きくサークルを張ると、1枚のコインを力いっぱい投げる。
“シャンブルズ”
遠くに飛んでいったコインと自分の身体を入れ替えた。
それを繰り返しながら、ローは海軍船へと向かっていく。
「気の早い男だな。…お前たち、砲撃の用意をしろ。」
「ハイ!」
手伝うと決めた以上、最大限の助力をする。
それがホーキンスのポリシーだ。
「…撃て。」
船長の合図により、けたたましい音と共に砲弾が発射される。
ドオォーン!!
砲弾は海軍船の近く着水し、大きな水しぶきを上げる。
「間違っても当てるな。」
転覆してしまっては、元も子もない。
それに、あの船を沈めるのは、自分の仕事ではないはずだ。