第23章 仮面の暗躍
時は少し遡る。
モモを探して港に出たローは、とある男に声を掛けられた。
「やけに殺気を放つ男がいると思えば…、またお前か。」
「お前は…--」
確か、占い師の…。
バジル・ホーキンス。
「あの女が海軍に捕まったか。」
「…! なぜそれがわかる。」
まさか、政府の関係者か…?
ローの目つきが探るようなものに変わる。
「勘違いするな。俺は政府の人間じゃない。」
「なら、なぜ。」
聞くなり、ホーキンスはパラパラとカードを広げた。
「前回占ったとき、あの女は波乱に巻き込まれると出ていたからな。お前たちと別れたあと、気になったから更に占ってみた。…その結果だ。」
「占いでアイツが海軍に捕らわれるとわかった、と言いたいのか。」
「現にそうなっただろう。」
どうだか…。
そんなこと信じられない。
「てめェに構ってるヒマはねェ…。失せろ。」
「いいのか? お前だけでは助けられないぞ。」
「……!」
この男は知っているのだろうか。
今のローの状況を。
「お前がいれば、助けられるとでも…?」
「無論だ。」
「助けられるとして、お前が俺たちに手を貸す理由はなんだ。」
ローの問いにホーキンスはパラリと1枚カードを捲る。
何度占っても結果は同じ。
「それが俺の運命だからだ…。」
ホーキンスの言うことはよくわからない。
でも…。
「俺は占いなんざ、信じねェ。…だが、お前のことは信じてみるのも悪くない。」
「それでいいだろう。」
スッとホーキンスが手を上げた。
するとすぐに数人の男たちが集まってくる。
「ハイ、船長!」
「すぐに船を出せ。全速力で海軍の船を追う。」
「わかりました!」
意味不明な指示だというのに、男たちはそんなことには慣れているようで、忠実に従った。
「…お前、何者だ?」
少なくとも、モモが言う占い師なんかではないことは確かだ。
「お前と同業者だ。」
つまり、海賊。
「そりゃァ、なにより信じられる言葉だな。」