第23章 仮面の暗躍
ヤガラブルを使う時間も惜しく、ローは四角鼻の職長のごとく街を飛んだ。
能力も駆使したため、あっという間に港に着く。
(……モモ!)
ガヤガヤと賑わう港でモモの姿を探す。
いや、モモひとり探すよりも…。
「オイ…ッ。停泊している船に、海軍の船はあるか!?」
島の人間であろう漁師を捕まえて問いただす。
「うお…、なんだよ…急に。」
「さっさと答えろ…ッ」
殺気に満ちたローの視線に、漁師はヒッと息を飲む。
「か…海軍の船なら、ずいぶん前に出航しちまったよ。」
「---!」
一足遅かったか…!
港から見える海平線にはいくつもの船が見渡せる。
あの中のどれかに、モモが捕らわれているはず。
ローの能力を駆使すれば、船がなくとも追いつくことは可能だろう。
けれど、どの船にモモが乗っているかもわからずに海を飛び続け、彼女を救出するのは不可能に近い。
ローの能力は使うほどに体力を消耗するのだ。
それでも、やらなければならない。
必ず守ると約束したのだから。
例え命を削ることになろうとも…。
“ROOM”
海へ向けサークルを展開させる。
そしていざ、自身を瞬間移動させようとしたその時…。
「やけに殺気を放つ男がいると思えば…またお前か。」
不意に掛けられた声に、目を向けた。
「お前は…--。」