第23章 仮面の暗躍
「ところでロー、どこ行くの?」
「あァ、ちょっと用ができた。祭りは十分堪能しただろ? 今度は少し造船所まで付き合え。」
そう言ってローはヤガラブルの手綱を引いた。
造船所に着くと、約束もしていないというのに、わざわざアイスバーグが出迎えてくれた。
「ンマー!! お前たちか。船の修理はまだ少しかかるぞ。どうした?」
「いや、もうひとつの件で話したいことがあった。」
ローの言葉に、アイスバーグは納得がいった顔で頷く。
「ああ…、そっちの話か。要望があれば早めにと言ったのはこっちだしな。部屋を用意しよう。…カリファ。」
「はい、すぐに用意します。」
有能美人秘書はくるりと踵を返すと、足早に奥へと消えていった。
「ねえ、ロー。お話してる間、わたしは造船所内を見学しててもいい?」
「見学?」
「うん。この間はよく見られなかったし。船が出来るところを見てみたいの。」
それになんだかローは、新しい船のことについてあまり自分に知られたくないようだったから。
自分がいては話の邪魔だろう。
「大丈夫よ、ヒスイもいるし。」
きゅきゅ、っとヒスイが返事をする。
「…造船所の外には出るなよ?」
「もちろん。」
「なら、少し待ってろ。」
そうしてモモはヒスイと2人、工場で待つことになり、ローはアイスバーグと奥の部屋へ向かった。