第23章 仮面の暗躍
「だいたい、占いなんぞ信じるヤツの気が知れねェな。」
「あら、どうして?」
「てめェの未来はてめェで決めるもんだろ。それを他人の言葉に左右されるなんてバカらしいじゃねェか。」
それはまあ、そうだけど…。
これだから男の人って夢がない。
「いいのよ。わたし、こういう女の子らしいことがしてみたかったんだから。」
「そうかよ。……そういえば、お前、色ならなにが好きだ?」
「……はい?」
思い出したかのように尋ねられた質問に、目を丸くする。
「色だよ。何色が好きなんだ?」
「はあ…、色ね…。」
質問の意図はわからないけど、聞かれたからには真剣に考える。
「黄色が好きね。」
「黄色?」
「だってほら、黄色って幸せを呼ぶって言うじゃない?」
本当は青も緑も好きだけど、ほら、あなたの名前は“トラ”ファルガー・ローでしょう?
だから黄色のイメージだ、なんて言ったら怒られそうだから、それは自分だけの秘密。
「ふぅん。まあ…、わかった。」
「え、なんなの?」
「なんでもねェよ、気にすんな。」
いやいや、気になるって。
「…オイ、あっちにでけェブルがいる。見なくていいのか?」
「えッ、どこどこ?」
あからさまに話を逸らされたが、モモはその話題に食いついてしまった。
ローの指差す方向に、パタパタと駆けてゆく。
しかし、トラブルメーカーな彼女が走れば当然なにかあるわけで…。
…ドン!
こんなふうに人とぶつかってしまったりする。
「ご、ごめんなさい!」
「いやいや、大丈夫かい? お嬢さん。」
恰幅の良い男性とぶつかってしまった。
ゾワ…。
あれ、なんでだろう。
また…?
不意に湧き上がる悪寒に戸惑う。