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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第22章 可愛いひと




「…フザけんな。」

「…え?」

「誰が俺より想いが強いって?」

バカにされた気分だ。
コイツは俺の想いをちっともわかっちゃいない。

「俺の想いに比べりゃ、お前なんか米粒みたいなモンじゃねェか。」

「…米粒って。」

それ、自分で言っててどうなの?

でも、いいわ。
本当はぜったいに負けないけど、プライドの高いあなたのために、負けたフリをしてあげる。


「ロー、コレ外してよ。」

未だ拘束されたままの腕をガチャガチャ鳴らす。

「コレじゃ、あなたを抱きしめられない…。」

「……。」

カチャリと音がして、手錠が外される。

長らく自由を奪われていた手首には、暴れたために赤い擦り傷がついてしまった。

「…悪かった。」

つけてしまった傷痕に謝罪の意を込めて、軽く口づけを落とす。

「いいわ、許すから…。だから、あなたの弱いところ、もっと見せて。」

それを見られるのは、この広い海でわたしだけでしょう?

あなたの弱いところも、情けないところも、全部大好きだから。

わたしの可愛いひと。


解放された両腕で、ギュッとローを抱きしめた。



「……くくッ」

「…?」

小さく笑ったローに、モモは首を傾げた。

「それにしても、お前がこんなに凶暴とは思わなかったな。」

赤く色づいた額、くっきりと歯形のついた首筋。
まあ、好き放題してくれた。

「……! だって、仕方ないでしょう?」

そうでもしないと、ローは話を聞いてくれそうもなかったのだから。

「なら、今度は俺の番だな…。」

「え…?」

俺の番って、あなたもう散々好き放題したじゃない。

「足りねェよ…。もっと味わせろ。」

抱き合った体勢のまま、再びベッドに身体を沈めた。

「せっかくのスイートルームだ、もっと堪能しようぜ…?」

「いや…、もうわたし…おなかいっぱい堪能したから…。」

あなたのことは大好きだけど、あなたみたいな体力オバケと一緒にしないで。
身体がもたない…。

「遠慮すんなよ。チェックアウトは明日の朝だ。まだまだ時間がある…。」

そう言って凶悪な笑みを浮かべるローに、さっき上げられなかった嬌声を取り戻せるくらいずっと、喘がされたのだ。


(確かに…、波乱に巻き込まれてるかも…。)

薄れゆく意識の中、ホーキンスに言われた占いが脳裏をよぎった。



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