第21章 魔術師のカード
カードを広げるホーキンスの姿を、しばらく見つめていた。
「出たな。」
「……! ど、どんな…!?」
思わず身を乗り出して尋ねてしまう。
「まず、お前は近い未来、波乱に巻き込まれる。」
「……波乱。」
それは悪い意味にも思えるが、考えてみればモモの人生は波乱ばかりだ。
「それって、悪い意味なんですかね?」
「さぁな、どう捉えるかはお前次第だ。」
「うーん。」
少なくとも“ロー”という波乱の傍にいれば、当然自分もそれに巻き込まれるだろう。
それはもう、しょうがない。
「巻き込まれちゃうものは仕方ないですね。諦めます。」
「ふッ…、面白い女だな。」
普通はどんな内容の波乱なのか、避けるにはどうしたらいいのかと聞くものなのだが。
「そうだな…、とりあえず“酒場”に行くのは止めておいた方がいい。良くない運気が出ている。」
「酒場…?」
そういえば、シャチが“ブルーノの酒場”がどうのって言っていた気がするが…。
「なら、そこへ行くのは止めておきます。」
もともとモモはお酒が飲めない。
もしかしたら、それが原因で粗相をするのかもしれないし。
「それから…、お前は人の縁によって救われるようだな。」
「縁…。」
つまり、困ったときに誰かに助けてもらえるってことだろうか。
「さっきもホーキンスさんに助けてもらいましたしね。」
それなら、人との関わりは大切にしようと思う。
「最後に、お前はそう遠くない未来、人生において一番の宝を手にする、と出ている。」
「わたしの人生で一番の宝…?」
なんだろう。
すごい薬とか、貴重な医学書とか…?
ううむ、と悩む。
「…じゃあ、“ひとつなぎの大秘宝”とか?」
「……。本当に面白い女だな。」
まさかそんな答えが出てくるとは。
「ふふ、思いつかない。でも楽しみだわ!」
わたしの人生は、これからも可能性に満ちてるってことね。
「ありがとう、ホーキンスさん!」
モモは満面の笑みをホーキンスに向けた。