第21章 魔術師のカード
(どういう原理なのかしら…。)
次々と空中に展開されていくカードを、モモは不思議そうに見つめていた。
魔法じみた占いの仕方に、胸がドキドキする。
彼は本物の占い師なのだ。
「なにを占っているの?」
邪魔になるかもしれない、と思いながらも好奇心を抑えられない。
「今日の運気だ。」
運気…。
その結果に基づいて生活すれば、良い1日が過ごせたりするのだろうか。
「あの…。」
「なんだ。」
「わたしも…、占ってもらったりしちゃダメですか?」
その言葉に、カードへ向けていたホーキンスの視線がモモに移る。
「お待たせしましたー、コーヒーです。」
ちょうど良いタイミングで店員さんがコーヒーを運んできた。
そのおかげでモモはハッと我に返る。
「あ…ッ、ごめんなさい。図々しいことを言いました。忘れてください。」
自分はいったいなにを言い出すのか。
恥ずかしくて俯いてしまう。
「…別に構わないが。」
だから返されたホーキンスの言葉には驚く。
「え…ッ、ほ、本当ですか!?」
「ああ。」
こんな無茶なお願いに応えてくれるとは、なんて優しいのだろう。
「それで? なにを占えばいい。」
「え…、えっと、えっと…。」
なににしよう。
こんなこと、初めてだから…。
「じゃあ、これからの未来とか。」
「いいだろう…。」
モモの要望を了承すると、ホーキンスはまた新たに空中にカードを展開し始めた。
その様子をドキドキしながら見つめる。
占いで未来を当てられてもつまらない、と言う人はいるが、モモはそうではないと思う。
例えば、悪い未来が待っているのなら回避したいし、良い未来が待っているのならそれを楽しみに生きていける。
どんな未来が待っていても、結局決めるのは自分自身なのだから。