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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第21章 魔術師のカード




「どうしてわたしがコレを持っているってわかったんです?」

どうぞ、とカードを差し出しながら尋ねてみる。

「波長でわかる。」

カードを受け取り、懐から取り出したカード束の中にパラリと混ぜた。

「拾ってくれたことに礼を言う。」

「あ、いえ。拾ったのは、わたしでなくてこの子ですから。」

「きゅい!」

ふるふると首を振って、抱えたヒスイを指した。

そうだぞ、拾ったぞ、と主張するヒスイを彼はジッと見つめた。

「…精霊の気配がするな。俺のカードの波長に惹かれたか。」

「そうなの、ヒスイ?」

「きゅきゅ。」

肯定するように鳴いた。
だからあんなに突然走り出したのか。


「礼といってはなんだが、探し人に会わせてやろう。」

「本当ですか、占い師さん!」

「…バジル・ホーキンスだ。」

どうやら、それが彼の名前らしい。

「わたしはモモです。ありがとうございます、ホーキンスさん。」

彼がローに会わせてくれる確証なんてどこにもないのに、モモはすっかりホーキンスを信用していた。




しばらく歩いて、ホーキンスがモモを連れてきたのは裏町のカフェだった。

「ここで待っていれば、じきに向こうからやって来るだろう。」

「そうなんですか。」

カランカラン…と扉を押し、中へ入る。

どうやらホーキンスも一緒に待ってくれるらしい。

通りからよく見える、窓際の席に2人は座った。


「いらっしゃいませ、なにになさいますか?」

「…コーヒーを2つ。」

「かしこまりました!」

早々と勝手に注文してしまうホーキンスに、モモは慌てた。

「あ…、ホーキンスさん。わたし、お金持ってないんです。だから、わたしの分は…。」

「…別にいい。」

奢ってくれる、ということだろうか。

「すみません、ありがとうございます。」

「ああ…。」

そう言うと、ホーキンスはパラリパラリと空中にカードを広げていく。


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