• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第21章 魔術師のカード




「占い師さんなんですか…?」

「まァ、そんなところだ。」

ピタリとモモの足が止まる。

急についてこなくなったモモを訝しんで、彼も足を止め振り返った。

「……?」

「……ごい。」

俯き加減で呟いた言葉は小さすぎて聞こえない。


「なんだ、聞こえない。もう一度言え。」

尋ねてみれば、モモは顔を上げる。
そしてやけにキラキラした瞳で彼を見つめた。

「すごい…ッ、占い師さんになんて初めて会いました…!」

「きゅ…ッ」

興奮のあまり、抱いていたヒスイをギュムッとしてしまい、腕の中で苦しそうにもがく。

「占い師さんだから、わたしがローを探しているのがわかったんですか!?」

「あ…、ああ…。」

モモにキラついた瞳でずずいと迫られ、その勢いに圧倒され一歩下がる。

「すごい…! 昔いた村でも、占い師さんがいたんですけど、すごく当たるって有名で…! でも、人気があったからわたしは占ってもらったことがなくて。」

「そ、そうか…。」

ずっと占ってもらいたかったけど、追われてる身としてそんな目立つところに行くわけにはいかなかった。

当たった! とはしゃぐ女の子たちを見て、どれほど羨ましかったことか。

「どうやって占うんです? 水晶とか使ったりするんですか!?」

「いや…、カードで。」

「カード!?」

占い師の中にはトランプやタロットなど様々なカードを使う人がいるらしい。

すごい、本物だわ…!
興奮気味に食いついた。


「ああ、そうだ。…お前に声を掛けたのもそれが目的だ。お前、俺のカードを持っているな?」

「え…?」

ああ、そういえば…。
そんなものをヒスイが拾ったかもしれない。

ポケットから先ほどのカードを取り出した。

「これのことです?」

「ああ、俺が落としたものだ。」

どうやら彼は、このカードを探していて、そのついでにモモを助けてくれたようだ。


/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp