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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第20章 造船所




こちらに近づいてきたアイスバーグの顔を見て思い出した。

そういえば、先ほどから気になっていたことがあるのだ。

「あの…、食事はちゃんと召し上がってます?」

唐突とも思えるモモの質問にアイスバーグはパチクリと瞬いた。

「ん? まァ、食べているが…。」

「どんなものを?」

船のことならばまだしも、食事の内容に興味を持たれるとは珍しい。

「ンマー!! 最近はお偉いさんと会食続きだったからな…。いかにも“贅をこらした”連中が食べそうなものだよ。」

贅沢な会食とやらがモモには想像がつかないが、きっと偏った食事なのだ。

「アイスバーグさんは貧血気味みたいです。失礼ですけど、食生活を改善された方がいいですよ。」

「貧血…?」

モモの指摘に、またしても目を瞬かせる。

「ええ。最近、目眩がしたり急に力が出なくなったりしませんか?」

「…するな。」

やっぱり。

「それって、貧血の症状ですよ。」

普通、そんな症状があれば貧血だと気がつきそうなものだが、彼らは血気盛んな船大工。
きっと今まで、貧血なんてものに無縁だったのだろう。

「ンマー!! これが世に聞く貧血か…。確かに言われてみれば色々と心当たりがある。」

立ち眩みが多いのも、時折吐き気をもよおすのも全てそれが原因か。

なるほど、と納得すると同時に疑問がわく。

「どうして俺が貧血だと?」

「顔色と…あと、爪の血色がひどく悪いので、そうかなって。」

以前、村で薬剤師をしていたときは、お金のかかる病院に行かず、モモの下へ相談に来る村人が多くいた。

体調不良を訴える女性の多くは、貧血によるもの。

多くの患者さんを見てきたから、もう顔色を見るだけでわかってしまう。

「ンマー!! 驚いたな。そんなことでわかってしまうとは…。」

「わたしは薬剤師ですから。」

そう言ってモモはカバンから薬の入った包みを取り出す。



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