第20章 造船所
「スゴイぜ、船長、モモ! あの宝、いくらになったと思う!?」
「さァな。」
「いくらなの?」
全然見当が付かない。
そもそもモモは、アイフリードの財宝をよく見ていなかった。
「……5億だッ!」
5億…。
あんまりにも現実とかけ離れた金額に、モモはポカンとしてしまう。
「ほぅ…、悪くねェな。“略奪王”の名は伊達じゃなかったってわけだ。」
多少は予想していたのだろう、ローはそこまで驚いてはいないようだった。
「ンマー!! 造船資金には十分すぎる額だな。さっそく商談に入るか?」
「ああ、そうさせてもらう。」
まだ船の修理査定に出たカクが戻って来ていないというのに、せっかちな2人はさっさと話を進めてしまう。
「よし。じゃあ…ルッチ、パウリー、ちょっと来い!」
アイスバーグの呼び声に、2人の男が反応した。
「んあ。なんすか、アイスバーグさん。」
『クルッポー。おい、ルッチ、アイスバーグさんが呼んでるぞ。』
間違い。
ひとりの男と1羽のハトが反応した。
「うわァ、ハトがしゃべった!!」
『なんだよ、ハトがしゃべって悪いか? 白クマの旦那。』
「あ…、ううん。ごめん、ハトだってしゃべるよね。」
『そうさ、別におかしくない。』
アハハ、と2人して…いや、2匹して笑った。
「ハトと白クマの会話って…、なかなかシュールっスね。」
「うん…。でもアレ、腹話術だけどね。」
そうとは知らないベポは、しゃべるハトなんて初めて見たなァ、と親近感いっぱいの顔で笑っている。
そんな彼に、モモは真実を言えそうにない。