第20章 造船所
ウォーターセブン造船島、1番ドック入口。
「ここが造船所の入口みたいね。それにしても大きい…。」
「きゅいー…。」
船の工場だ。
大きいとは思っていたが、これほどとは。
“1”と刻まれた扉の大きさだけで、圧倒されてしまう。
「上ばっか見てると転ぶぞ。」
「はーい。…って、勝手に入っちゃダメよ!」
少し目を離した隙に、なんと巨大な扉にローが手をかけているではないか。
それは立派な不法侵入になる。
「ンマー!! これは驚いたな。こんなに堂々と不法侵入してくる輩がいたとは。」
み、見つかっちゃった!
突然掛けられた声にビクリと大きく跳ねた。
「…悪ィな。どこが入口かわからかったもんで。」
「ンマー!! それは悪かったな。…カリファ。」
「はい、アイスバーグさん。さっそくわかりやすいように、入口に看板を建てます。」
「…アイスバーグ?」
それは確か、ガレーラカンパニーの創立者の名前。
「いかにも、俺がアイスバーグだ。」
運が良い。
こんなに早くトップと会えるとは。
「そりゃァ、ちょうど良かった。今の船の修理と、それともうひとつ新しい船を造りたいんだが。」
「修理と造船か。ンマー!! 金はあるのか?」
「心配ねェよ。」
「それなら喜んでお受けしよう。」
アイスバーグは実にあっさりと依頼を受けた。
金さえ払えば海賊の船でも依頼を受けるという話は本当だったらしい。
「どうぞ、中へ。」
カリファと呼ばれた秘書の声に、ドックの扉がギギギ…と音を立てて開いた。
中では職人たちが活気溢れる様子で働いている。
「お、社長だ! 社長がおいでになったぞ!」
「アイスバーグさん、お疲れ様です!」
「すみません、船の出来を見てもらえませんか!?」
職人たちはアイスバーグの姿を目にした途端、我先にと話しかけてきた。
「ンマー!! 順番に言え、順番に。お客様の前だ、後で行くから。」
「はい! 待ってます!」
さすがはたった1年で会社を急成長させた男。
信頼度が違う。
(でも、なんだか--。)
その横顔をチラリと見て、モモはあることが気になっていた。