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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第20章 造船所




「よいしょッ…とォ。」

下船の際、ベポ、シャチ、ペンギンの3人がそれぞれ大きな荷物を持って降りてきた。

「なぁに? その荷物…。」

「この間、アイフリードのヤツから奪った財宝ッス。換金しなきゃいけねぇから。」

そういえば、それを元手に新しい船を造るという話が出ていた。
どうやらあれは本気らしい。

(結局、どんな船にするんだろう。)

ローのことだから医療設備の整った船になるだろう。

どうせなら書斎も作って欲しい。
このままでは船長室が本で埋まりそうだ。

「…行くぞ。念のため言っておくが、お前は俺たちから離れんじゃねェぞ。」

もし万が一、海軍に見つかった場合、モモだけでは危険すぎる。

「わかってる。」

ローから借りた帽子を目深に被った。

ならいい、とモモの手を引いて歩きだした。


その桃色な空気に、後ろでひそひそ声が聞こえる。

「…なんか、俺ら。また忘れられてるッスね。」

「シッ…! こういうときは見て見ぬフリをするんだよ。」

「なるほど。シャチは気が利くねぇ。」


ねえ、みんな。
聞こえるから…。

顔を真っ赤に燃やして、一生懸命手を抜こうとするけど、ローは頑として離してはくれなかった。




「ここが街の入り口みたいッスね。」

人気のない岬からは街への入り口として、橋が一本かかっている。

「本当だ。…えーっと、貸しブル屋。ん? ブルってなに?」

「入ってみりゃ、わかんだろ。」

ギィッとその店のドアを開いた。


「いらっしゃい! ブルだね、何人だい?」

「5人だけど…。おじさん、ブルってなにかしら。」

「おや。アンタたち、ウォーターセブンは初めてかい?」

じゃあ知らないわけだな、とブルについて説明してくれる。

ブルとは“ヤガラブル”という魚だった。
その背に小舟を乗せて人を運んでくれる、この島では生活に欠かせない生き物だ。


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