第19章 水の都へ
すっかり服を脱がされてしまったモモだが、いつもと違って恥じらう様子はなかった。
それは、先ほどの長すぎるキスのせいで、身体がずいぶんと高ぶってしまったせい。
恥ずかしい気持ちがないわけではないが、今は早くローに触れて欲しい。
ところが、普段はお願いもしないのに、どんどん責め立ててくる彼の指は、今日に限ってはいつまで待っても触れてくる気配がない。
「…ロー?」
堪らず、熱を帯びた瞳でローを見上げる。
早く触って欲しい…。
同じく欲望を宿したローの瞳に懇願するけど、彼はモモの秘部に触れることなく、優しく頬を撫でた。
そして、意地の悪い顔で笑うのだ。
「モモ、約束だ。俺の言うことをひとつ、きけ。」
「え…。」
このタイミングで、そんなことを言われるとは夢にも思わず、大きく瞳を見開いた。
「な、なに…を…?」
なにをすればいい?
聞くのが恐ろしいけど、早くこの疼きをどうにかして欲しくて、急かすように問いた。
「自分でシてみせろ。」
「……え?」
今、彼はなんと言ったか。
「お前が自分の手で慰めているところが見たい。」
再び言われた彼の言葉に、ただポカンとしてしまう。
自分の手で、慰める…?
それはいわゆる…、自慰というもので。
言われた意味をようやく理解したところで、顔が燃えるように熱くなった。
「な…ッ、なに言って…! そんなこと、できるわけな…ッ」
ブンブンと首を振って拒否するモモに、ローは愛しげに口づけた。
そして残酷に呪文を唱える。
「約束、だろう…?」
「--!」
モモ自身が望んだ、抗えない呪文にヒクリと喉が鳴った。
ローはモモの願いを叶えたのだ。
ならば、自分も彼の願いを叶えなければならない。