第18章 生まれる絆と繋がる命
「嫉妬か? 意外と余裕ねぇんだな。」
「…なんだと?」
ローとエースの間でバチバチと火花が散る。
その間にモモはヒスイの手を借りて、エースのビブルカードを取り戻した。
「…やった。って、2人とも なに睨み合ってるの?」
「別に。モモ、船に戻るぞ。出航だ。」
「え…、うん。」
エースの仲間たちの容態も安定している。
もう、自分たちがいなくても大丈夫だ。
それでも別れとなると、やっぱり寂しい。
そんな視線を受けて、不意にエースが言った。
「モモ、あの時の話、覚えてるか?」
「え…?」
「俺のとこに、白ひげ海賊団に来いって話だよ。」
ああ、そういえば そんな話もしたような。
初めて聞いた発言に、ローがピクリと反応し、ものすごい形相で振り向いた。
ちなみにエースの方を向いているモモには、ローの表情が見えない。
「ソイツのことが嫌になったらよ、いつでも会いに来いよな。お前なら、歓迎するぜ?」
半分は本気、もう半分はローに対する挑戦だった。
もしモモを不幸にするようなら、いつでも自分が攫いに行くぞ…と。
「ありがとう、でも--」
最後まで言う前に、ローがその身体を抱え上げた。
「きゃあ!」
「別れの挨拶は済んだだろ。もう行くぞ。」
「待って、まだ…。」
もう少し話したいというのに、ローは聞かず、そのまま船に上がってしまう。
「出航しろ。」
「「アイアイサー!」」
まったく、なんて強引なんだろう。
「エース! さようなら、またね!」
大きく手を振ると、エースも笑って応えてくれる。
「次に会うときは敵だ。」
横でローが憮然とした表情で呟いた。
「もう、そんなことばっかり言って…。」
「事実だ。」
「そんなふうに言わなくても、わたしはローの傍を離れたりしないよ。」
いつまでも不機嫌な彼に、ため息混じりで言ってやる。
「わたしはどこへも行かないんだから。」
ずっと、あなたの傍に。
「…本当だな?」
「当たり前でしょう?」
だからローも、ずっと傍にいてね。
約束の指切りをするように、どちらからともなく、2人は誓いのキスをした。