第18章 生まれる絆と繋がる命
「あーあ、見せつけやがって。」
海へと旅立つハートの海賊団を見送りつつ、エースはげんなりとため息を吐いた。
「どうした、隊長。失恋か?」
失恋…。
いいや、少し違う。
別に自分はなにも失ってはいないのだから。
むしろ--。
「始まりだろ?」
そう言ってエースは軽く唇に触れた。
あの時、そんな状況じゃなかったし、モモが困ると思ったから言わなかったけど…。
本当はちゃんと覚えてる。
彼女の唇の暖かさを。
いつか、必ず迎えに行くからな。
そう思って、どんどん小さくなる海賊船を見つめた。
ねえ、エース。
もし、あの時。
わたしに勇気が、力があったなら、
あなたの下に駆けつけられたかな?
もし、あの時。
わたしの選択が違っていたならば、
わたしが今も海賊だったなら、
あなたを助けに行けたのかな?
満月の夜になると、あなたのことを思い出すの。
あなたがすごいと言ってくれた、鎮魂歌。
今もずっと、あなたのために唄ってる。