第18章 生まれる絆と繋がる命
「なんでもって…、例えば?」
「さぁなァ、それはこれから考える。」
そう言ってローは意地の悪い顔でニヤリと笑った。
あ、これ。
ぜったいイヤなこと考えている顔だ。
ローの考える『なんでも』にはモモが想像もできないような、とんでもないことが浮かんでいるに違いない。
そう思うと簡単に首を縦には振れなかった。
「なんだ、嫌なのか。なら、しょうがねェな。外のヤツらには可哀想だが、そのまま眠っていてもらおう。」
(可哀想だなんて思ってないくせに…!)
いけしゃあしゃあと言うローをグッと睨み、わなわなと震える。
「で…、どうする?」
ローは面白そうにモモを見下ろした。
どうするもなにも、ひとつしか選択肢はないじゃないか。
結局、モモがローに駆け引きで勝つのは無理なこと。
「…わかった。」
「本当か? なんでも、だぞ。」
「わかったってば!」
念押ししてくるローに、半ばヤケのように言い返した。
「じゃあ、契約成立だな。」
そう言うと、ローは2人の身体を元に戻したあと、エースの仲間たちをあっという間にバラバラにしてしまうのであった。
次の日の夜、満月の光を受けてヒスイは咲かせた花からトロリとした蜜を出した。
早速モモは、その蜜から解毒薬を調合し始める。
「なにからなにまで悪ィな。俺に手伝えることはあるか?」
せわしなく動くモモの傍でエースが言った。
「ううん、大丈夫。ローがあらかじめ毒素を抜いてくれたから、薬が完成すればすぐにみんな目を覚ますよ、きっと。」
以前はどう活用したら良いかわからなかったヒスイの蜜。
それが今は、どの薬剤と合わせればより良い薬になるか、手に取るようにわかる。
これはユグドラシルが授けてくれた知識のおかげだ。
この知識のおかげで、自分は前よりもっと、みんなの役に立てる。
“世界一の薬剤師になる”
モモは間違いなく、夢に大きく一歩、近づいたのだ。