第18章 生まれる絆と繋がる命
(さて、と。2人の様子はどうかしら。)
テントを張り終えてから、モモはみんながいる医務室へ向かった。
ガチャリ。
なんの気なしにドアを開けると、その先に広がる惨状に、零れ落ちるほどに目を見開いた。
「きゃああぁ! な、なな、なにして…ッ」
思わず抱いてたヒスイもボテリと落っことす。
部屋の中には、愛刀を構えるローと、それにより無惨にもバラバラに切り刻まれたシャチとペンギンの“残骸”が散らばっている。
「ローッ、2人になにを…!」
2人の悲惨な状態に動揺して、問い詰めるようにローの傍に寄ろうとすると、すんでのところでベポに止められる。
「あ、ダメだよモモ、近づいちゃ。今、キャプテンはオペ中だから。」
「オペ…?」
いったいこれのどこが…。
「能力で身体をバラバラにしたあと、体内の毒素を取り除くんだよ。切った部位はちゃんとくっ付くから大丈夫。」
よく見ればところどころの臓器はバラバラになりながらも、確かに脈打っている。
「そういうことだ。ただし、ひとつでも無くせば元には戻らねェけどな。」
ゾッとする。
例えば心臓の一部を無くしてしまって、それを誤って踏んづけでもしたら…。
素晴らしいけど、なんて恐ろしい能力だ。
ジグソーパズルのように細かく刻まれた肉体に、思わず後ずさった。
「ということは、2人の毒素はもう抜けたの?」
「イヤ、大まかな毒素は取り出せても、完全には無理だ。あとはお前の薬に頼るしかねェな。」
それでも大部分の毒が抜けるのなら、それだけで安心する。
「じゃあ、外にいるエースの仲間の毒も抜いてくれる?」
「断る。」
「ええッ?」
すごい即答された。
「二度もアイツらを助けてやる義理はねェな。」
「そんなこと言わないで。あのままに出来ないし。ね、お願い…。」
オペの邪魔にならない程度に、ローの裾を掴んで上目遣いに頼み込んだ。
結果、ローがモモのお願いを断れるわけもなく…。
「ハァ…、わかった。」
「ほんと!?」
「ただし、条件がある。」
喜ぶモモにビシリと言いつける。
「条件…?」
「お前の願いをきいたんだ、お前もひとつだけ俺の言うことをなんでもきけ。」
な、なんでも…。
なんだか嫌な予感しかしない。