第18章 生まれる絆と繋がる命
モモの歌に導かれて、空中をさまよっていた魂は全て天に召されていった。
「すげぇな…、今の鎮魂歌か?」
「ううん、そんな大それたものじゃないわ。」
エースの問いに、ふるふると首を振って答えた。
ただ自分の想いを詰めただけの歌だ。
さようなら また会えますように、と。
でもそれが、彼らの道しるべになってくたなら、これほど嬉しいことはない。
「キャプテーン、モモ~!」
ひとまずホッと息を吐いたところで、思わず“懐かしい”と感じてしまう声が2人を呼んだ。
「ベポ!」
「やぁっと見つけた! 大変だよ、森が燃えてるんだ!」
帰りは遅いし、もしかしたら2人が巻き込まれたのかと思って大慌てで探しに来たのだ。
「別に、そんなもん見りゃわかる。」
むしろ原因は自分たちだ。
わざわざ探しに来てくれたベポに、ローはやや冷ややかに言った。
「ちょっと、ロー。そんなふうに言ったら…。」
「当たり前のことで、スミマセン…。」
ほら、落ち込んだ!
ベポのハートはガラス製なのだから。
「ベポ、心配掛けてごめんなさい。きっとシャチとペンギンも心配してるよね。」
「それが…、みんなで森に入った途端、2人とも様子がおかしくなっちゃって…。」
きっと毒素を吸ってしまったのだ。
毒は即効性だから。
「それで2人は…!?」
もしや燃える森の中にいやしないだろうか。
「言うこときかないで どっかに行こうとするから、殴って大人しくさせたよ。」
つまりは気絶させたらしい。
それはそれで、違う意味で心配だ。
「ベポはよく平気だったね。」
「まァ、クマだからな…。」
そういえば毒は人間にしか効かないんだっけ。
ローの指摘に納得する。
しかし、ベポには違う意味に聞こえたようで…。
「クマでスミマセン…。」
再びガクリと肩を落としてしまった。
このやり取りが なんだか懐かしくて、モモは自然と笑顔になったのだ。