第18章 生まれる絆と繋がる命
エースの言葉に、モモは肩をふるりと震わせた。
「…それじゃダメなの。」
「?」
「わたしは、ユグドラシルの力になりたかった。でも、なれなかった…。」
ただ理想を押しつけるんじゃなくて、心に寄り添ってあげたかった。
でも、自分にはそんな力はなくて…。
「わたしには、甘いことばかりしか言えない。」
それを きれい事と言われても仕方ないと思う。
「いいじゃねェか、甘いことで。」
落ち込むモモの横で、それのなにが悪い、とローが言った。
「え…?」
「あの状況で、あんなヤツに優しい言葉をかけられるのは、お前くらいだと思うがな。」
少なくともローはユグドラシルを理解しようとは思わなかったし、助けたいとも思わなかった。
「それに、ヘドロ塗れになっちまったアイツの本心を見つけてやれたのは、お前の力だろ。」
モモがいたから、ユグドラシルは己を取り戻すことができたのだろう。
それは、間違いなくモモの“強さ”
モモの優しさは強さなのだ。
「アイツはお前の優しさに、救われたんだろうな。」
だから、あんなに安らかな気持ちで天に昇る決意ができたんだ。
「…本当に、そうかな。」
だとしたら、自分はユグドラシルの助けになれたということか。
彼が残した言葉を、誇りに思っていいということか。
「なんだ、俺が信じられねェのか。」
自信満々に笑うロー。
そうね、わたしが自信をもてなくても、あなたのことなら…--。
「…信じるわ。」
自分の優しさが誰かの力になると、あなたを通して信じてみるよ。