第18章 生まれる絆と繋がる命
「チッ…、仕方ねェ。気乗りはしねェが、ついでだ。火拳屋、お前らも助けてやるよ。」
ここでエースたちを見捨てれば、モモが悲しむのはわかってる。
“ROOM”
ローは一際大きくサークルを張った。
“シャンブルズ”
部屋がグシャリと潰れる瞬間、全員の姿がパパパッと消えた。
ドサッ
「…きゃッ」
揺れる地下部屋から急に地上へ移動したため、モモの残念なバランス感覚がついていけない。
もはやこの展開がわかり切っていたとばかりに、転びそうになる身体をローが支えた。
「あ、ありがとう…。エースたちは?」
「その辺に転がってんだろ。」
見回してみると、少し離れたところにエースの姿があった。
「エース!」
「モモ…。驚いたな、ここは外か。」
瞬間移動だなんて、便利な能力である。
「あ、お前ら…ッ」
エースの傍らには、仲間たちが傷ひとつ付いていない状態で転がっていた。
眠りから覚めないことを除いて。
「モモ、コイツらを解毒薬で目覚めされられるか?」
「ごめんなさい、エースに飲ませたので最後だったの。」
そうか、とエースは目に見えて肩を落とした。
「でも心配しないで。時間を貰えたら、新しい解毒薬が作れるわ。」
「本当か!?」
エースの仲間たちをそのまま放置する気はない。
モモは大きく頷いた。
「オイ、そういう話はここを乗り切ってからにしろ。」
ローの言葉に顔を上げてみると、地面からビキビキと太い根が這い出ていた。
大樹の幹からボコリとユグドラシルが顔を出す。
「…逃がさんぞ、貴様ら。」
数々の蠢く根に、モモはゾクリと怯えた。
これほどの巨大樹だ、根はどこまで広がっているのだろう。