第18章 生まれる絆と繋がる命
「なにを、わけのわからんことを…。もう黙るが良い。続きは我が体内に取り込んだあと、じっくり聞いてやろう。」
ザワッと触手が牙を剥き、モモたちに襲いかかる。
「モモ、下がれ…ッ」
いや、背後だって危ないかもしれない。
ローは片腕の中にモモを抱き込むと、手のひらを広げ、能力を出す体勢をとった。
と、その時--。
「きゅいーッ!」
可愛らしい雄叫びと共に、緑の物体が頭頂部の長い触角を刃に変えて、ユグドラシルの触手をぶった斬った。
「ヒスイッ!」
てっきり地上に避難したと思っていたのに、心配して追ってきたらしい。
「きゅうぅーッ」
なぜ置いていくのか、と不満そうに鳴きながら、ヒスイはモモの肩に飛び乗った。
「ごめんね、ここは危なかったから、先に戻っていて欲しかったの。」
「きゅいッ」
そんな危ないところにモモを置いていけるわけがない。
自分はモモのナイトのつもりだ。
見当違いな発言をするモモの顔を、不満の意を込めて、小さな手でペシリと叩いた。
すっかり機嫌を損ねてしまったヒスイを撫でていると、ユグドラシルの信じられない、というふうな声が聞こえた。
「おぬし、もしやピクミンか…?」
愛情をたくさん受けて育てられた植物が妖精化したもの。
それがピクミン。
遥か昔には多くのピクミンが存在していたが、昨今の海賊時代のせいか、世界には争いという負の感情が満ちているせいで、めっきり姿を見せなくなった。
「そうか、我が毒を中和したのは、ピクミンの蜜じゃな。」
ピクミンの蜜は、どんな毒素も中和する効果があるのだ。
ユグドラシルの言葉に、ヒスイは「そうだ。だから、お前になんて負けないぞ!」と挑戦的に鳴いてみせた。