第18章 生まれる絆と繋がる命
「もうこれ以上、罪を重ねるのは止めて。エースの仲間を解放して。」
なおも言い募るモモの手をローが引いた。
「オイ、危ねェからソイツにそれ以上、近寄るな。」
いつ襲ってくるともわからない。
しかし、そんなローの言葉は、モモの耳に入らないようだ。
「人と植物に違いなんてないわ。だから、共に生きていける!」
姿形は違ったって、一緒に歩くことができるから。
しかし、ユグドラシルはその言葉に大きく反論する。
「詭弁じゃ、小娘。人間は浅ましく、愚かな生き物。そんなヤツらと共に生きることなど出来ん。」
昔の自分は、それがわからず馬鹿な夢を見ただけ。
決してモモが言うようなことではない。
「確かに、わたしたちはとても違うけど、それは誰だってそうでしょう? 全く同じ人が誰ひとりいなくても、共に生きていけるように、種族が違っても共に生きていけるわ。」
魚人、巨人、小人。
人ですらたくさんの種族が存在している。
『違う』は当たり前のことなのだ。
「人間は『ひと』という同じ括りの中に存在しているから、分かり合えるのじゃ。しかし、人間と我らに同じところなどありはしない。」
わかってもらいたいのに、わかってもらえない。
どうしたら、この気持ちを伝えられるだろう。
「くだらん話は終わりじゃ。人間ども、おとなしく我が糧となれ。」
バキバキバキ…。
四方八方から、ユグドラシルの根が触手のように伸びてくる。
「モモ、下がれ。残念だが、あのバケモノにはお前の話は通じねェよ。」
「待って、ロー…!」
わかって欲しい、わたしたちが共に生きられるってこと。
姿形は違っていても、心は同じでしょう?
それでも、どうしても『同じ』を見つけたいのなら…。
「あるわ、同じところ!」
ユグドラシルに向かって叫んだ。
「ほう、どこじゃ。」
「例えば、お腹がすいたとき。おにぎりを半分こして食べたら、美味しいって思う気持ち。」
それから、天気の良い日にする日向ぼっこの心地よさ。
一緒に探検したときの、ドキドキワクワク。
そこに種族はありますか?
きっと、ない。
そうでしょう? ヒスイ。