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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第17章 巨大樹




「待って、お兄さまッ、行かないで!」

窓から出て行こうとするローをラミは止めた。

「ラミ…。」

「ここには父さまも、母さまも、わたしも。みんないるよ? だからお外に行かないで!」

そう、この世界はとても優しく、幸せだった。

だけどここには、モモがいない。

「ごめんな、ラミ。俺は、アイツがいない世界で生きるくらいなら、アイツがいる地獄で生きるよ。」

外の世界がどんなに辛く悲しくても、そこにモモがいるならば、喜んで生きよう。


「なあ、ラミ。あの時、迎えに行けなくてごめんな。」

「え…。」

炎に飲み込まれる病院で、置き去りにしてごめん。

そして今、再び置いていくことを許して欲しい。

贖罪の言葉と共に、ローは窓を飛び出した。


「…行ってらっしゃい、お兄さま。」


最後にラミが呟いた言葉は、ローが作り出した都合のいい夢だったのだろうか。








「……く…ッ」

「ロー、しっかりして!」

愛しい彼女の声に、ローは無理やり瞼をこじ開けた。

「…ッ、ロー!」

目に飛び込んできたのは、金緑の瞳から大粒の涙をボロボロ零して泣き笑うモモの姿。

「…また泣いてんのか…、お前は…。」

「だって、だって…。ローが心配させるからでしょう?」

泣きながら責められた。
零れる涙を拭ってやりたいのに、身体が動かない。

「なんだ、これは…。」

そこでようやく、自分の状態を確認する余裕が生まれた。

樹の根が身体に巻きついており、さらに樹液でへばり付けられている。

「あ、ごめんね。今すぐ出してあげるから!」

「必要ねェよ。」


“ROOM”

ブゥン、とサークルが張られる。

“シャンブルズ”

パッと拘束されていたローの身体が消えた。
そうかと思えば、モモの隣にドサリとローが座り込んだ。

瞬間移動で脱出したのだ。

「ロー、大丈夫?」

「ああ…。チッ、まだ頭がクラクラしやがる。」

たった今まで毒に侵されていた身体だ。
無理をしない方がいい。


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