第17章 巨大樹
「ハァ…、ハァ…。ま、待って…。」
モモはスター・エメラルドが作り出した光の子供を必死に追いかけていた。
その子はこちらの状況がわかるのか、モモが転んだりして足を止めると、少し離れたところで待っていてくれる。
いつの間にか松明も消え、その子の光だけが頼りとなった今、もう追いかけるほかない。
走っては転び、走っては倒れ、その繰り返しが何度目だったことか。
ついにその道の最奥へたどり着いた。
肩で息をするモモに光の子供は「あそこ」と指をさす。
「ハァ…、ハァ…。…あッ!」
そこには、樹の根に吸収されて、首から上だけ外に出したローの姿が。
「ロー!」
駆け寄って、その顔に触れる。
温かい…。
良かった、生きているのだ。
「ロー…。良かった、無事で…。」
わたしはあなたを失っては、もう生きていけない。
溢れる涙が抑えられず、頬を伝ったとき、背後に光の子供が近寄ってきた。
「あッ、あなた…。ここまで連れてきてくれて、ありがとう。」
何者かはわからないけど、確かにこの子がここに連れてきてくれたのだ。
『お願い…。』
『お兄さまを、助けて。』
「え…。」
お兄さま…?
今、確かにそう聞こえた。
ふわりと淡く光り、その子が笑った。
光が粒となり、霧散して消える前に、モモはツインテールの幼い少女の姿を確かに見たのだ。