第3章 ハートの海賊団
「ねえ、船長! モモの身体が平気なら、これからメシを作ってもらってもいいっスよね?」
これからしばらく、こんな美味しい料理が食べられるなんて夢のよう…。
しかも可愛い女の子の手作り!
3人のただならぬ視線と、美味しい食事を目の前に、ローは頷くしかなかった。
「「いよっしゃァ!」」
切実な男どもの歓喜の声が上がった。
「じゃあ、モモのためにボクもいっぱい魚釣ろうっと!」
「イヤ、仕事しろよ航海士。」
すぐさまツッコミが入る。
「…使えないクマでスミマセン。」
(う、打たれ弱…!)
その日から食事の支度はモモの仕事となった。
「あー、朝からこんな美味いメシが食えるなんて幸せ~。」
「でも島に着いたら、もう食べられないんスね~。」
モモがこの船に乗って4日目、予定ではあと3日で島に到着する。
(とても良くしてもらったから、わたしも寂しいな…。)
「モモも寂しいって言ってるよ。」
「え、本当に!?」
ベポの通訳にシャチとペンギンがはしゃぐ。
「じゃあさ、もうずっといなよー。」
それは無理だ。
海軍に存在がバレてしまった以上、しばらくは普通に生きるのも難しい。
みんなに迷惑が掛かる。
それにローは、ただ料理を作る女など船に乗せないだろう。
「あ、モモ。悪いけどキャプテンの部屋に食事を持って行ってくれない? キャプテンはほっとくとゴハンを忘れちゃうんだ。」
なんともローらしい。
モモは頷くと、トレーに彼の分の食事を乗せて船長室へ向かった。
コンコン
ノックをしても返事がない。
(どうしよう…。)
部屋の前に置く?
でも冷めちゃうし、食事を忘れるくらいなんだから気がつかないかも。
コンコン
再度ノックする。
返事はない。
(…ノックはしたし、いいよね。)
意を決して、ガチャリと扉を開けた。