第17章 巨大樹
エメラルドから放たれた光は、徐々に集結し、白く光る子供の姿に変わった。
「ええッ、あなた、誰?」
子供の姿といっても光の集合体で、顔などを確認できるわけではなく、ただぼんやりと子供の姿だと思うだけだ。
『…こっち。』
その子はモモの質問に答えるでもなく、ただ手招いて別の道へと走っていった。
「え、待って…!」
そっちの道は、今行こうとした道の逆方向。
だけど、不思議とその子について行こうという気になり、モモは後を追いかけた。
一方、その頃のエースは、選んだ道の最奥までたどり着いていた。
「……これはッ」
そこで目にしたのは、行方知れずだった仲間たちが根に取り込まれ、樹液でベチャベチャに固められた姿。
「おい、お前ら! しっかりしろ!」
揺さぶっても、頬を叩いても、仲間たちは一向に目を覚まさない。
それどころか、みんな一様に安らかな顔をしている。
(ま、まさか…、もう死んで--!?)
かろうじて突き出た顔と手首に触れる。
幸いにも彼らは温かく、脈打っていた。
まだ生きているのだ。
とりあえずホッと息を吐いたとき、頭上から人ならぬ声が降ってきた。
「誰じゃ、ワシの食事の邪魔をするのは。」
嗄れた老人の声にギョッとして、その出どころを見上げると、樹の幹から人面のような顔がボコリと出てきた。