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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第16章 炎の男




「お兄さま、アイス屋さん見つけたよー!」

「待てよ、ラミ。」

妹を追うローは、いつの間にか幸せだった頃の、子供の姿に戻っていた。

「走るなって…。お前、転びやすいんだから。」

あれ…、そうだっけ?
ラミはおてんばだけど、そんなドジな子ではなかったはず。

「ロー、ラミ。」

「あ、父様、母様!」

笑顔が優しい、父と母がローを呼ぶ。

「こっちにいらっしゃい。」

「うん!」

不意に違和感を感じた気がしたけど…。

いいじゃないか、幸せなんだし。








「エース。あなたの仲間、いた?」

「イヤ、どこを探しても白骨死体しかいない。」

ローもいない。
毒素を振り撒く犯人は、この巨大樹で間違いないはずなのに、彼らはいったいどこに行ったのだろう。

「きゅー!」

樹の根元で、ヒスイがピョンピョン跳ねた。

「どうしたの、ヒスイ。…あ!」

そこには見慣れた帽子が…。

「ローの帽子!」

拾い上げて抱きしめた。
やはり、彼はここに来たのだ。

「仲間のものか?」

「うん…! 落としたんだわ。だとしたら、どこに…。」

キョロキョロと辺りを見回すと、フワリとあの甘い香りが鼻を突いた。

「この香り…、どこから。」

香りを辿っていくと、根の隙間にある空洞を見つけた。

「エース、ここから僅かだけど、例の香りがするわ。」

「なに…? どれ。」

ボッと点いたエースの炎が、暗闇を照らす。

「…どうやら、ここから地下に行けるみてぇだな。」

「じゃあ、みんな地下に行ったのね。」

これだけ探しても見つからないのなら、その可能性が高い。
なにより、ローの帽子がそれを物語っている。


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