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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第16章 炎の男




ヒスイのツルにシュルシュルと引っ張られて、モモは樹の上に戻った。

「おい、あんた。大丈夫か?」

先ほどの男が声を掛けてきた。
よく見れば、モモと同じ年頃の青年だ。

「あ、うん…。びっくりした。」

「そりゃ俺のセリフだ。」

確かに…。


「えっと、あの…?」

ところでこの人、誰だろう。
いまいち状況がわからない。

「あぁ、俺か? 俺ァは…--」

「……。」

あれ、てっきり自己紹介してくれるものと…。

「あ、あの?」

「ぐーーー。」

「えッ、ね、寝てる!」

このタイミングで!?

「あの、もしもし。」

さっきまで寝てた自分が言うのもなんだが、この状況で寝られても困る。

「--はッ、いけねェ。寝ちまってた。」

「…器用ですね。」

「すまん、俺はポートガス・D・エース。“白ひげ海賊団”二番隊隊長だ。」

白ひげ海賊団…。
さすがの自分でも聞いたことがある。
この世で最も海賊王に近いと呼ばれる男“白ひげ”が率いる海賊団だ。

「わたしは、モモ。その、ハートの海賊団…です。」

初めて言った!
ちょっと照れる…。

「ハートの海賊団…。あんた、海賊だったのか。見えねぇなァ。」

「薬剤師なの。戦力としては期待しないで。」

言われなくても早々に樹から落ちる小娘に期待なんてしないだろうけど。

「…で? あんなところでなにしてたんだ。」

「連れとはぐれてしまったの。あなたは?」

そういえば、すごい格好をしていたような気がするが。

「ちょっと人を捜していてな…。」

ふむ、とエースは顎に手を当てて考え込んだ。

「モモ、連れとはぐれたのはいつ頃のことだ?」

「あなたと出会う数時間前のことよ。」

それがどうかしたのだろうか。

「俺が捜している仲間も、この島で連絡が取れなくなった。」

「え…。」

エースの仲間も?
どうして…。

さっきまで、ローはきっと大丈夫だと思っていた。

胸騒ぎがする。

今彼は、どこでなにをしているのだろうか。

急に不安になった。


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