第15章 オバケの森
「ええ?」
なに、その質問。
「答えろよ。…どっちだ。」
「それは…、もちろん、ローに決まってるでしょう。」
なら、とローはノートを放り投げた。
「当然、俺を優先するよな?」
「あ…、ちょ…。…んん。」
大事な研究成果になんて扱いをするのだと抗議しようとした口を、温かな唇で塞がれた。
「ん…、待っ…。」
突然の口づけに反応できず一度離そうとするが、頭の後ろを押さえられ、さらに深く口づけられてしまう。
侵入してきた長い舌が、口腔を掻き回し、モモの舌を捕まえた。
ぬるついた舌を絡め合わせて、強く吸われてしまえば、甘い痺れに身体が震える。
「ふ…んぅ…。」
次第に息が上がり始め、口内で与えられた彼の唾液を飲み込めずに、口の端から滴りこぼす。
チュッと音を立てて唇を吸われ、ようやく長いキスから解放される。
「ハァ…ハァ…、いきなり、なにを…。」
涙と熱がこもった瞳でローを見上げれば、彼は未だ不機嫌なままだ。
「…いきなりじゃねェよ。今日で何日シてないと思ってる。」
「え…。」
そういえば、最近彼と身体を重ねていない。
でも、そうは言っても一週間ほどだ。
「一週間くらいでしょう?」
「くらい? 俺は毎晩だってヤリてェのに、よく耐えたと思わねェか。」
ま、毎晩って…。
そんなにされてはモモの身体が保たない。
「それなのにお前ときたら、研究、研究と…。」
「いや、ローに言われなくないのだけど。」
いつも研究に没頭しているのはどっちだと思って…。
「…あ?」
「…なんでもない。ごめんなさい。」
これ以上、彼の機嫌を悪化させない方が良さそうだ。
「俺を蔑ろにしやがって。…お仕置き、だな?」
「なッ、ちょ…きゃあ!」
物騒な物言いに警戒して、抗ってみたけど、抵抗むなしく軽々と抱き上げられてしまった。
「や…、下ろして…ッ」
「ああ。…ほら。」
ローは大股にベッドへ歩み寄ると、その上にモモを転がした。
「ひゃ…ッ」
ゴロンと仰向けに転がると、すぐにその上にローが跨がってきた。