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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第14章 食虫植物




「オイ、危ねェからそこをどけ。」

モモの手を引いて自分の後ろへ行かそうとする。

「待って! 確かめたいことがあるの。」

「確かめたいことだと…?」

ローの問いにモモがしっかりと頷くので、一旦鬼哭を鞘に収めた。

「わかった。だが、不用意に近寄るなよ。」

「うん、ありがとう。」

モモはローを心配させないよう、彼の傍から棚の裏に向かって声を掛けた。


「ねえ、出てきて。あなたなんでしょう…?」

わたしを助けてくれたのは。


ガタゴト…。

「…きゅい。」

物音と共に奇妙な鳴き声が聞こえた。

それと同時に、棚の裏から見たこともない生物が顔を出した。

体長は50センチほど、全身緑色の謎の生物。
まん丸のおどけたような目が2つ。
手足は短く、一応口らしきものもある。

一番の特徴は頭上から伸びた長い触角のようなもの。
その先には、赤い葉っぱが一枚だけ付いている。


「…あなた、あの子なのね?」

「きゅ!」

まるで返事をするかのように、その子は鳴いた。

「良かった、おいで!」

「きゅー!」

広げたモモの腕の中に、その生物は嬉しそうに飛び込んでくる。

それをしっかりと抱きしめてあげた。


「いやいや、だから誰だよ!」

その場の全員が思っていたであろう疑問を、代表してシャチが突っ込んだ。

「ほら、見てよ。わかるでしょう?」

モモはクルリとみんなの方を振り向くと、抱きしめたその子を掲げてみせた。

「いや、わかんないッス。」

「ボクには宇宙人に見える…。」

「人じゃねぇだろ。葉っぱ付いてるぞ。」

葉っぱ…?
そういえば、あの特徴的な赤い葉は。


「まさか…、ソイツはあの食虫植物か?」

モモが大事に育て、昨夜姿を消した、あの食虫植物。

「うん、そうみたい。」

そう、あの子はネズミに食べられたわけではなかったのだ。

「はァ!? それが食虫植物って、嘘だろ?」

「うーん、ボクも植物は二足歩行しないと思うな。」

いいや、この子は確かにモモが育てた子だ。
毎日愛情込めて育てたのだ。
モモにはわかる。





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