第14章 食虫植物
モモが船にいても、様子をちょいちょい見に来るし、自分たちと楽しく談笑していると、わざと呼びつけたりもする。
ときには過保護すぎると思うこともあるけど、以前のクールすぎるローより、モモと出会った今のローの方がずっと良いと自分たちは思う。
だけど、今この状況は当然嫉妬されてしまうわけで--。
「そうか。だが、ちゃんと拭いて出てこいよ。床がびしょびしょじゃねェか。」
「ごめんよ、キャプテン。」
(……あれ?)
2人の予想に反して、ローは嫉妬したりしなかった。
(も、もしかして、俺たち認められた?)
クルーは家族のようなもの。
ついに自分たちは、そういう嫉妬対象から外れたのかもしれない。
(てことは、今までちょっと遠慮してたけど、モモともっといろいろ仲良くしていいってことッスね!)
ならば、まずは手始めに…。
「…おい、ベポ。」
「ん、なに?」
ちょいちょい手招きして、彼の耳を引っ張り、声を落として尋ねた。
「モモと一緒に入ったんだろ? じゃあよ、モモの裸を見たってことか?」
「え、うん。」
2人は心の内で雄叫びを上げた。
「で? どうだった…!?」
「なにが?」
まったく、このクマときたら、どれだけ鈍感なのか。
「だから、モモの胸とか--」
「オイ…。」
地を這うようなローの声が、質問を遮った。
「シャチ、ペンギン…。俺の女に興味を持つなんざ、良い度胸じゃねェか。」
漂う覇気に、背筋が凍る。
(あ、あれ? 俺たち、認められたはずじゃ…?)
「これ以上、聞いてみろ。…バラしてやる。」
「「ひぃッ!!」」
どうやら、ローに『無害』と認められたのは、ベポだけのようだ。
ガチャリ。
「ふあ、サッパリしたー。」
最後にキッチンのドアを開いたのはモモ。
「あ、モモ。ありがとう、おかげでボクも涼しくなったよ。」
「でしょう? …って、なんかこの部屋、寒くない?」
心なしか吹雪いている気がする。
特にローとシャチ、ペンギンの間で。
「どうかしたの?」
「…チッ、なんでもねェよ。それより、髪をちゃんと拭けって何度言えばわかる。」
「ふ、拭いたってば…。」
ローが過保護にもバスタオルを取り上げ、モモの髪を拭う。