第13章 証
抱き上げられた格好のまま、ローの肩にぐったりと頭をもたげさせた。
呼吸を整え、徐々に冷静さが戻ってくると、身体の痛みも一緒に思い出した。
「…ん、痛ぅ。」
「どうした、中が痛むのか?」
ずいぶんと激しく動いたから、彼女の中を傷つけてしまったかもしれない。
「ううん、違くて…。筋肉痛が…。」
今まで忘れていたのが奇跡だ。
それほどまでに興奮していた。
「ああ…。そういえばそうだったな。」
ローもそのことをすっかり忘れていたようだ。
「まあ、筋肉痛には軽めの運動もいいらしいから、良かったじゃねェか。」
軽め!?
どこをどうしたら、軽めの運動と?
乱れた呼吸とお風呂の熱気で、もう全身ぐったりだ。
「ローのバカ。全っ然、軽めなんかじゃないよ!」
ムゥッと頬を膨らませて、軽くローのほっぺを抓った。
ロー自身、ちょっと無理をさせてしまったという自覚はある。
「悪かったな…。代わりに身体を洗ってやるから、許せ。」
「えッ、いい、いい! もう大丈夫だからッ」
さっきまでのむくれた態度をよそに、ブンブンと勢い良く首を振った。
本当に下心なしの親切な気持ちで申し出たのに、本気の拒否を受けて、またじわりと拗ねにも似たローの意地悪心が顔を出した。
「遠慮すんなよ…。人の親切は、素直に受け取るもんだぜ?」
モモを一度、ザブンとバスタブに戻すと、スポンジと石けんを手に取った。
「そ、それ…、親切って言わな--」
問答無用とは、まさにこのこと。
情けなく悲鳴を上げるモモになんかお構いなしで、ローは文字通り彼女の身体を磨き上げた。
口に出すのも躊躇われるような箇所まで、隅々と。