第52章 ハート

恋人の暴挙に、モモは悲鳴を上げた。

そう、悲鳴。
悲鳴のはずだ。

｢んあぁッ｣

粘つく隘路を無遠慮にまさぐられ、ぬっちょぬっちょと卑猥で耳を塞ぎたくなるような水音が鳴る。

｢や、やめ…ぇ……ッ、あッ、んんぅ……ッ｣

突き入れた指をくの字に押し曲げられたら、生まれた隙間から必死で留めていた精液が流れ出ていく。

｢あ、あ、出ちゃ……！｣

｢なんだ、寂しいのか？ 安心しろ、すぐにまた注いでやるよ。｣

｢んッ、ちが……、そ…じゃな…ぁ…ッ｣

頭がいいくせに、さっきモモが言ったことを忘れてしまったのか。
汚れるから出すなと言ったのに。

決して芳しいとは言えない匂いを放つ体液が、どんどん、どんどん、シーツに落ちて染みていく。
指を上下させるたびに外へ出ていくそれらは、もはやローが出したものなのか、それともモモが流した蜜なのかもわからない。

｢くそ、エロすぎるだろ……。｣

ごくり、と唾を飲む嚥下音が聞こえた。
同時にモモの中を弄くっていた指がじゅぽりと抜かれたが、じんじん甘く疼く身体を持て余したモモは代わりに押し当てられた灼熱を拒むことすらできなかった。

｢あ……、んッ、んッ｣

何度も達して柔らかくなった媚肉が、一度吐精したくせに驚異の硬さを誇るそれを滑らかに飲み込む。

｢ひぁ……ッ、あふぅッ、ん、んく……ッ｣

背後から腰を打ちつけられ、肌と肌が合わさるタイミングで破裂音が響く。
衝撃を殺せなくて上体が前のめりに傾き、顔面からシーツに埋もれそうになる。

｢離れるな……。｣

｢そん…な……、あぐ……ッ｣

いったい誰のせいで倒れそうになっていると思っているんだ。
非難の言葉を浴びせたくても、休みなく与えられる刺激のせいで舌がもつれる。

密着していたい気分なのだろう、体勢を立て直せないモモに代わってローの腕が前に回り、胸部を持ち上げるように抱き寄せた。