第52章 ハート
熱い飛沫を身の内に受け、注がれた粘液の感触に一線を越えた幸福感と共に涙が溢れた。
「ん、はぁ……、ロー……。」
ぐったりと弛緩した身体をローに預け、幸せな気持ちで瞳を閉じた。
が、一度モモの背筋を撫でたローは、彼女の細い肢体をベッドの上に転がして、吐き出したばかりの怒張を抜き取る。
「あ、んん……ッ」
スプリングの反動で身体が弾み、栓を失った秘穴から濃厚な白濁が流れ落ちた。
ぐちゃぐちゃになったシーツはどのみち洗濯カゴ行きだけど、さすがに精液を染み込ませてはマズイと慌てて拭くものを手繰り寄せようとする……けれど。
「きゃ……!?」
ヘッドボードへ伸ばした手は空を切り、ぐるんと回転させられた身体がうつ伏せになる。
上から降ってきた手のひらがモモの手を覆い、未だ興奮したままの吐息が耳を擽る。
ローの唇が耳朶を食み、色気を孕んだ低音ボイスが直接吹き込まれた。
「誰が終わりと言った?」
「ひぅッ」
モモが慄いたのは、悩殺を食らわせるほどの声のせいか、それとも当然の如く挑まれた二戦目宣言のせいか。
たぶん、どちらもだろう。
「ま、待って! ちょっと、休憩……ッ」
「なに腑抜けたこと言ってんだ。俺の女なら、夜通し付き合うくらいの根性を見せろ。」
いや、無理、死ぬ。
わたしは人間である。
「シーツが、汚れちゃうから! せめて、綺麗にしてからにしよ?」
汚す方はいいかもしれないが、あとでゴシゴシ洗うのはモモだ。
ナニをして汚れたのかを思い出しながら頑固なナニカの汚れを落とすなんて、拷問に等しい。
両脚をぴったりと閉じ、少しでも体液がシーツに落ちるのを防ぐモモの背中で、ローがおもしろそうに笑う。
「なるほど? じゃあ、俺が手伝ってやるよ。」
「え……?」
言うが早いか、ローはモモの手に重ねていたその手で、体液塗れになった秘処をまさぐった。
ちょっとでも力を入れれば新たな白濁が流れるそこに、あろうことか長い指を突き入れたのだ。