第52章 ハート
ぎちりと強制的に入口を広げられ、モモは圧迫感と愉悦に震えた。
「やぁ……ッ」
「悪いな、興奮した。だが、いいのか? 泣き顔を見せられると、余計に興奮する。」
「へ、へんたい……!」
「バカ言え。男はみんな、こういう生き物だ。」
ならば泣き顔なんて見なければいいのに、いつの間にか背中に回った手が後頭部に添えられて、顔を背けるどころか視線を逸らすことさえ許されない。
「ん……、離して……。」
「離すわけねェだろ。悪い女には、多少の躾が必要だ。」
「し、躾って――あぁッ」
予告もなしにぐんと下から突き上げられ、甘い悲鳴を上げた。
右手は頭を、左手は腰を抱え、続けざまに繰り出される突き上げに成す術なく翻弄される。
「ひぁ……ッ、待って、おねが……!」
「舌を出せ。」
「ふぇ……?」
「舌を出せと言っている。」
ローの上に座りながら突き上げられるのは、動くたびに花芽が擦れて非常に辛い。
膝を立てて腰を浮かせようにも、腰を抱いた腕が容赦なく沈めてくるものだから、モモの力じゃ太刀打ちしようもなかった。
これも躾の一環なのかと諦め、おとなしく舌をちろりと出した。
素直に従った方が身のためだという判断は、ある意味正しい。
満足そうな笑みを浮かべたローは、短い舌を器用に食み、自分の舌をぬるぬると絡める。
「ん……ッ」
「おい、いつやめていいと言った。そのまま舌を出していろ。」
咄嗟に引っ込めかけた舌を再び出すと、唇もろともべろりと舐められた。
深いキスはもう慣れたと思っていたが、口内で愛撫を受けるのと、口の外で愛撫を受けるのとでは感じ方も恥ずかしさも桁違いで、合間から吐く息が荒ぶる。
心の震えはそのまま興奮へと繋がって、突き上げられる下肢がじゅんと濡れた。
「は……、中が締まったぞ? こういうキスは好きか?」
「や……ッ、そんなんじゃ……。」
「嘘を言うな。いいから、吸ってやるから出せ。」
ローの命令には、いつだって逆らえない。
ただ、以前と違うのは、心臓が彼の感情を必要もなく伝えてくるということだけ。
舌を吸い、モモの蜜壺を掻き回すローの心臓は、どくどく、どくどく、楽しそうに弾んでいた。