第13章 証
ようやく冷静を取り戻して辺りを観察すると、洞窟内のところどころに宝石の原石や、石灰石が見受けられる。
「あ、ロー。石灰石があるわ。」
もともとこれが目当てでここまで来たのだ。
「ああ。」
モモは早速それを拾い上げ、リュックにしまう。
しかしローはランプで洞窟内を照らしながら、なにかを探しては首を傾げる。
「モモ、もう少し奥へ行きたいんだが、いいか?」
「え? うん。」
石灰石なら十分ここで手に入るし、これ以上奥へ進まなくてもいいとは思うが。
しかし、もしかしたらローにも目当てのものがあるのかもしれない。
行こう、と差し出された手を握り、洞窟のさらに奥へと進み出した。
奥へ進むにつれ、足場は悪くなり、生息する生き物も凶暴さを増した。
キーッ
けたたましい超音波を発しながら、牙剥き出しの巨大コウモリが襲って来た。
“カウンターショック”
バリリッと音を立てて電流がコウモリの身体を走り、耳から煙を立てて転がり落ちる。
「ロー、そろそろ戻らない?」
灯りを持って歩く自分たちは、猛獣たちの恰好の餌食。
通った道は倒した猛獣が点々と転がっている。
この洞窟内では、モモは完全にお荷物だ。
自分の戦闘能力はゼロと言っても過言じゃないし、それを守りながら進むローは正直負担だろう。
ローひとりならともかく、モモがいる以上、そろそろ引き際だ。
だけど、ローは首を縦に振らない。
「お前のことは絶対に守る。だから、もう少しだけ奥へ進むぞ。」
「ロー、さっきから、いったいなにを探しているの?」
洞窟内が怖いわけじゃない。
ローが傍にいてくれるから。
でも、彼の行動は不可解なことが多すぎる。
なにか探しているなら、一緒探したい。
「…お前は一緒にいてくれるだけでいい。」
「ロー…。」
それって、一緒にいれば役にたつの?
もしそうなら、見つかるまで傍を離れないけど。
それから少し進んだところで、洞窟の最奥へたどり着いた。
「ここで行き止まりみたいね。」
「……。」
ローは無言のまま、ランプで壁際を照らした。
フッ…。
しかし、ランプの灯りはオイル切れでついに消えてしまう。