第51章 選んだ果てに
モモとコハクがサカズキの到来に気がついたのは、本当に偶然。
たまたま、盗聴用の電伝虫が情報をキャッチしただけ。
しかし、モモたちがサカズキの会話を盗み聞いても、彼らにはモモたちの居場所はわからない。
現に、会話の中でもサカズキは自分たちの居場所を探していた。
けれど現在、この男はモモが島内にいることを確信し、こうして探しにやってきた。
不思議に思わない方がどうかしている。
「まったく……、どげんして船から逃げ出したんかは知らんが、これ以上、手を煩わせてくれるなよ。」
こきり…と肩を鳴らしながら近づいてくるサカズキを前に、恐怖と焦燥感がせり上がってくる。
この男に捕まるわけにはいかない。
すぐに逃げなくては。
そう思うのに、モモの足は地面に張り付いて動かない。
だって、これだけは確かめなくちゃ……。
「どうして……、わたしの居場所がわかったの。」
お願いだから、わたしの予想を裏切って。
モモの身体の中に発信機を埋め込んだとか、どこにいても居場所がわかる悪魔の実の能力者がいるとか、なんでもいい。
この悪い予感が当たらなければ、なんだって。
「くだらん質問をするな。そんなんもわからんほど、愚かな女ではなかろうに。」
めったに笑わない男が、僅かに見せる笑み。
歪んだ口もとに、モモの心臓が痛いほど脈動した。
「あのローが、おどれを置いて行動するとは思えんけ。」
ローがいるところには、モモがいる。
それはつまり、サカヅキはローがここにいることを知っているということ。
ならばなぜ、ローはこの場にいないのか。
サカヅキがいて、ローがいない理由。
それは……。
「トラファルガー・ローは、基地と共に炎に呑まれた。いくら待っても、お前のもとに戻りゃァせん。」
「――え。」
何度も響いた爆発音。
空に上がる黒煙。
燃え盛る炎の中にあるものは、海軍の基地と、それから……。