• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第51章 選んだ果てに




どれほど時間が経ったことか。
気がつけば、コハクはペンギンたちが陽動のために爆発を起こした現場、備蓄倉庫にたどり着いていた。

大規模の爆発のせいで、倉庫は跡形もなく消し飛び、雪が溶けて煤けた大地が剥き出しになっている。

もはや、ここが倉庫であったかどうかも判断できない。

海兵が集う中、コハクがここまでやって来れたのは、子供ならではの体格と、無人島で鍛えた息の潜め方。

動物を狩るとき、いかに気配を消すか。
エースから教わったことのひとつだ。

(あいつらは……やっぱりいない、か。)

予想していたとおり、現場には仲間たちの姿どころか、手がかりひとつ見当たらない。

「なんだこりゃ…。倉庫の火薬にでも引火したか?」

「バカ言うな。ここにあったのは、船の修復機材と保存食料だ。火薬なんて危険なもの、放置しない。」

「そりゃそうか……。」

丸焦げの支柱や、吹き飛ばされた屋根の破片を集めながら原因を探っていると、突然地面が揺れた。

ドォ…ン……!

先ほどの爆発音とは異なり、重々しく響く地鳴り。

「なんだ……!?」

「おい、あれを見ろ!」

ひとりの海兵が指差す方向を見れば、目を疑うような黒煙が空に上り、雲をも飲み込もうとしている。

その場所は、コハクがずっと気にしていた場所……海軍基地だ。

「なんだあれは、襲撃か!?」

少し前にコハクが目にした黒煙など、比にならないほど巨大な煙。
まるで、火山が噴火したみたいだ。

「元帥補佐官殿がおられるとはいえ、さすがにおかしい。おい、そこのお前! ここを任せた! あとの者は基地へと戻るぞ!」

リーダー格の海兵が命じると、びしりと敬礼したのち、いっせいに全員が走り去っていく。

残されたのは、爆発の原因を調査する新兵のみ。

(……どうする?)

迷った。
もしあの黒煙の下、海軍基地でローが苦戦しているのなら、今すぐ助けにいきたい。

でも、コハクがモモに任された使命は、サカズキの来訪を仲間たちに知らせること。

(決めるなら、今しかない……!)



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp