第51章 選んだ果てに
(どこだ、どこへ行った……?)
姿を消した副官の行方を探すが、黒煙が視界を狭めて見つけられない。
放っておけば、仲間たちに危険が及ぶ。
「どこを見とるんじゃい。よそ見しとるヒマが、おどれにあるんか!」
「……!?」
少し目を離した隙に、サカズキが身体をマグマに変えて、すぐそこまで迫ってきていた。
周囲に蜃気楼を作り出すほどの熱を持った腕が、ローに向かって振り下ろされる。
「……くッ!」
両腕を組み、全力の武装色の覇気を纏ってガードする。
ドカ……!
サカズキの攻撃をまともに食らった。
たった一発殴られただけなのに、肌が焼けて骨が軋む。
「わしの攻撃を防ぐとは……。ロー、おどれはここで倒さにゃァ、面倒なことになりそうじゃのぉ。」
“大噴火”
体勢を立て直す前に、マグマの拳が飛んできた。
“シャンブルズ”
パッと空中で位置を入れ替え、攻撃を躱す。
目標を失った拳は、再び基地を焼いた。
「はぁはぁ、バケモノが……ッ」
常人離れしたローですら、サカズキをバケモノだと思う。
「どうした、息が上がっちょるぞ。」
「……ッ」
ローの能力は万能ではない。
サークルの範囲を広げるほどに、能力を使うほどに体力を消耗する諸刃の剣。
副官とサカズキ。
立て続いた戦闘が、ローの体力を蝕む。
「ちょろちょろ逃げ回れるのも、時間の問題と違うか?」
「……黙れ。」
サカズキの言うとおり。
だから、体力が尽きる前にこの男を倒さなければ。
(赤犬を倒すには“アレ”を使うしかない。)
ローが編み出した技の中で、一番威力の高い技。
ドフラミンゴを倒すために修得した技だが、成功すればサカズキにだって通用するはず。
オペオペの実の能力をエネルギーに変えて手のひらに集結させ、対象者を内部から破壊する技。
“ガンマナイフ”
食らわすことができたなら、サカズキに助かる道はない。
一発逆転の大技。
これに賭けるしかない。