第51章 選んだ果てに
ヒスイの活躍のおかげで、モモたちはなんとか無事に上陸することができた。
どくどくと未だ治まらない鼓動を宥めながら、先ほどの爆音について考える。
「今のって、ペンギンたちの陽動作戦?」
「たぶんね。すごい爆発音だったけど、アイツら、無事かな。」
「……。」
みんなのことだから、大丈夫だ。
でも、問題なのはそこではない。
陽動作戦が開始されたということは、ローとみんなは共にいないということになる。
ローが海軍基地にいてこそ、意味がある陽動作戦。
つまり、モモとコハクは、海軍基地とみんなの隠れ場所の2ヶ所に足を運ばなくてはならない。
そんなことをしているうちに、サカヅキが来てしまわないだろうか。
(迷っている時間はないわ……!)
これは、時間との勝負なのだ。
自分の安全ばかりを気にしていられない。
「コハク、二手に分かれましょう。」
「……なに?」
唐突な提案に、コハクの眉根が寄った。
「わかるでしょう? わたしたち2人で行動するより、別々に動いた方が効率的だわ。」
「いや、そうだけど……!」
「コハク!」
反論する彼の肩を、強く掴んだ。
「お願い、あなたしかいないの……ッ」
ひどい母親だと思う。
こんな危険な地で、我が子をひとりきりにさせようとしている。
こんなひどい母親は、世界中どこを探しても、自分だけではないだろうか。
それでも、モモはコハクを信じてる。
「前回の二の舞はイヤよ。わたし、みんなと一緒に……笑いながら海に出たい!」
そのためには、誰ひとり欠けてはならない。
きっと、コハクも同じ想いのはずだ。
懇願するように見つめれば、コハクが眉間のシワを増やしながら、強く目を瞑った。
「……わかった。」
「コハク……!」
ぱっと表情を綻ばせたモモの前で、「ただし」と言葉が続く。
「条件が、2つある。」