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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第50章 自由のために




ニトロダケ。
それは、爆薬の原料となるニトログリセリンを豊富に含んでいるキノコ。

「へえぇ! そんなキノコ、よく知ってたね。」

「モモがな。」

彼女と出会ってから、植物の知識が各段に増えた。

「そっかぁ。なんか、モモもここにいるみたいだね。」

「……ああ。」

今の言葉、モモに直接聞かせてやりたい。
彼女はいつも、自分のことをお荷物だと思っているから。

「ベポ、全員でありったけのニトロダケを集めろ。」

「アイアイ、キャプテン!」


ベポたちがニトロダケを探している間に、ローは先ほど気絶させた海兵たちを集め、能力を使って遠くに飛ばした。

極寒の地で気絶したまま放っておけば、凍死する危険性もあるが、仮にも新世界を生き抜く海兵。
このくらいのことでは、命を落とすこともないだろう。

「……海兵どもの心配をするとは、俺も落ちぶれたもんだ。」

誰の影響か…なんて、考えなくてもわかりきったこと。

だけど、そんな自分の甘さを、悪くないと感じてもいる。

復讐に燃えていたあの頃の自分からは、想像もしていなかった未来。

これからも、そんな未来を生き抜くため、自分たちは戦うのだ。


「キャプテン! ニトロダケ、たくさん集まったよ!」

「ああ。」

呼ばれて備蓄倉庫に戻ると、よくもまあ、この短時間でこれだけ集められたものだ。
山盛りのニトロダケが積まれていた。

「これだけありゃァ、十分だ。なら、ここからは作戦どおり、別行動をとる。」

陽動はベポたちに任せ、ローは基地へと向かう。
そういう作戦だった。

「船長、気をつけてくださいよ。駐屯兵は雑魚ばかりに見えるけど、さすがにサカズキの副官ってヤツは、手強そうだから……。」

「ふ…。シャチ、てめェ、誰に向かって言ってるつもりだ。俺を心配するなんざ、百年早ェよ。」

いつもの調子で言葉を返すが、シャチの心配はよくわかった。

だからこそ、彼らのためにしておかなければならない指示が、ひとつだけ残っている。



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